おうちにかえろう
「だから美月ちゃんも、自分なりにでいいから楽しみな。湊も雛もすげーいい子だから仲良く出来ると思うし」
「…おい、俺はどーした」
「湊も雛も、もちろん俺も、出来ることならなんだってするから」
「…おい、だから俺は」
雨宮くんの突っ込みは見事にスルーされていたけれど、私には、気遣う余裕がなかった。
雨宮さんの顔を見ることで精一杯になってしまったから。
「せっかく一緒に住むんだしね」
この人の目は、どうしてこんなに澄んだ黒をしているんだろう。
ずっと見ていたら、このまま
吸い込まれてしまいそう。
優しい黒に、吸い込まれてしまいそう。
「人生なんて楽しんだモン勝ちだろ。目一杯楽しんどけ」
……楽しんだモン勝ち……