おうちにかえろう
うるさい奴
「―――……まじ……なんだ……ドッキリかと……思ってたのに……」
うちの前に立ち尽くしてそう言ったのは、賀上だった。
気のせいじゃなければ、さっきから瞬きをしていない。
そのせいで、呼吸すらしていないんじゃないかと錯覚してしまった。
「だから何度も言っただろ、本当だって」
「ううううううるさい!!あんたに言ってない!!!」
くわっと威嚇されて、げんなりしてしまった。
…何でこいつはいつだってこんな風に突っかかってくるんだ。
毎度毎度だから、さすがに慣れたけども。
「……だって信じられるわけないでしょーよ…っ特別仲良くもなかったのにこんな展開になるなんて思わないでしょーよ…っ何でよりによって雨宮……」
この世の終わりでも知ってしまったかのような真っ青な顔でそんなことを言われても、こっちだって困る。
俺だって、こんな展開になるなんて思ってなかったんだから。
全てはうちの馬鹿兄貴のせいだ。
「……どうやって美月を丸め込んだのよ…!なんか姑息な手でも使ったんでしょ…!?ええ!?」
「俺なんもしてねーよ…」
さっきからものすごい形相で詰め寄られる。
目をひんむいて舌打ちして…最早ホラーだった。
「……やっぱりドッキリなのかもしれない……やっぱり信じられない…っ」
っていうか、まさかこいつが本当にここまで来るとは思わなかった。