おうちにかえろう
そもそも、何でこいつはこんなにも俺に突っかかってくるんだろう。
思い返してみれば、一年の頃からそうだった。
『…おい、望…お前すげー睨まれてんぞ…』
友達が若干引き気味でそう報告してきたのは、去年の10月頃に行われた中間テストの結果が張り出されたとき。…だったと思う。
初めて目が合ったときの衝撃といったらなかった。
恐かった。顔が、すごく恐かった。
その時も多分、隣に檜山は居たんだろうけど、興味がなかったから全然覚えていない。
『…いつまでも頂点に居座れると思ったら大間違いよ!!!』
『……は?』
『このあたしがまた2位って何で…っ3度続けて…屈辱よ…!!!』
『……。……あの……』
『次はずぇっっったい負けないから!!!!』
ずかずかと歩み寄ってきて、宣戦布告もいいところな発言を繰り出された俺は、ただ立ちつくして返事に困った。
正直、“どちら様ですか”としか思えなかった。
俺、この人に何もしてないのに、何でキレられてんの…
次に浮かんできた思いはこれだった。
『覚えてやがれ!!!!』
『……。』
いきなり突っかかってきた上にキレられてしまって、頭の中がハテナで埋め尽くされたことは、今でも鮮明に覚えている。