おうちにかえろう
「美月はバイト何時からだっけ?」
「6時からだよ」
「そっかそっか、まだ時間あるね~」
檜山が階段に足をかけたことで、ミシっと木の軋む音がした。
やっぱりうちって古いんだな。
妙なところで、そんなことを思ってしまった。
でも、古いけれど、俺はこの家が嫌いじゃない。
それは、ここに住んでいるみんながそう思っていると思う。
(…檜山も…)
まだ、他人の家の感覚だろうけど。
まだ、居づらいかもしれないけれど、それでもいつか、そう思ってくれたらいいな、と思う。
…と、朔兄は思っているはずだ。
(…俺は…分かんね)
正直な話、まだピンときてねーんだ。
檜山と一緒に住むこと。
「私も美月と一緒に出ようーっと!」
「…まじかよ…」
…あ。
しまった。