おうちにかえろう
檜山のことに気を取られていて、つい口を出してしまった。
なるべく関わらないようにしているのに、つい突っ込んでしまった。
いや、だって…6時までまだ結構あるから…
そんなに居るんだ…と思って…
「……。」
階段を二段ばかり上った賀上が、ピタッと足を止めた。
…気のせいだろうか…
黒いオーラと共に、髪の毛が逆立っているように見える。
同時に、面倒臭いオーラが立ち込めているような…
「っっっ何よ!!!いちゃいけないってのー!!??」
「っ、…ちょっ…」
鬼のような形相が、一瞬だけ見えた。
次の瞬間には呆気に取られたような顔になっていたから、本当に、一瞬だけだったけれど。
「……あぶねー…お前…」
「……。」
俺のモノじゃない、ブラウンのふわふわとした軽そうな髪の毛が頬を擽ったのは、振り向いて、手を振り上げた拍子に階段を踏み外した賀上を、咄嗟に支えていたから。
別に転んでも怪我なんかしない高さだったけれど、安堵のため息は勝手に漏れていた。
…あー、びっくりした。