おうちにかえろう
あのあと、私の部屋へ案内したんだけど、…まーちゃんの様子がおかしかった。
『…適当に座ってね』
『……。』
『まーちゃん?』
『………。』
まーちゃんがぼーっとするなんて、珍しいこともあるもんだと思った。
いつもハキハキ、サバサバしているまーちゃん。
上の空になっているところなんてあんまり…というか、見たことがなかった。
それなのに、私が何度呼びかけても気付かないで、何かを思い出しているかのようにぼんやりとした表情をしていて。
やっと私の呼びかけに気付いた頃には、顔は、茹でダコみたいに真っ赤になっていた。
『どうしたの?もしかしてまーちゃん、さっきの…』
『は!!??ち、違う!!!違うから!!!!』
『…どっか痛いんじゃないの?大丈夫?』
『……。……っあ、ああ、そっち、ね…っ』
そっち、とは?
と聞いても、「何でもない!!!」と一喝されてしまった。
とにかく、まーちゃんの様子がおかしかったのだ。
何も分からないけれど、一つだけ分かったのは、いつも可愛くてしっかり者のまーちゃんがいつもよりももっと可愛く見えたってこと。
その理由はもちろん、私が一人で考えた所で、分かるわけもなかった。