おうちにかえろう
今週の掃除当番は…
「……。」
「…何その嫌そうな目」
雨宮くんだ。
すでに私を見ていた彼の視線は、嫌悪感に充ち溢れていた。
大方、こう思っているのだろう。
“飯もろくに作れないやつが、掃除なんて出来るのか”…と。
「…お前、…掃除出来んの…?」
(…ほら当たった…)
当たったからといって、特別嬉しいことなどない。
むしろ、切ない。
「…掃除は好き。コロコロ得意」
「あれって得意不得意あんの?」
「…。…え、何、私手伝わない方がいいですか」
「誰もそんなこと言ってないだろ」
…と言った雨宮くんの顔が、直前の発言に伴ってない。
明らかに嫌そうじゃないかよ。
くそう、ナメんなよ。
本当に、掃除は割と好きな方なんだって。
「そしたら望、明日から美月ちゃんと分担してやって。ついでに色々教えてやって」
雨宮さんに笑顔を向けられたことで、雨宮くんの表情がより一層険しくなった気がする。
「………分かった」
…返事めっちゃ遅いしね。
「よし、…とりあえずはそんな感じで………あ」
何かを思い出したように、言葉を途切れさせた雨宮さんに、みんなの視線が集まった。
ポンと、手を叩いて、視線を向けたのは、…私。
「そろそろさ、下の名前でみんなのこと呼んでみようか?」
「………、え?」
呆気にとられるとは、このことを言うんだと思う。
あまりに突然そんなこと言われたものだから、アホヅラのまま固まってしまった。