おうちにかえろう
こいつの指導係?を任されて早数日。
早くも心が折れそうだ。
ここまで何も出来ないやつに出逢ったのは初めてだ。
雛は、料理こそ出来ないけれど、掃除はやらせればそこそこは出来る。
だがしかし、こいつは掃除機すら満足にかけられなかった。
『それは掃除機かけてるって言わない。何となく部屋の形になぞってるだけだろ』
『…難しいことを仰る…』
『椅子とかゴミ箱とかちゃんとどかして裏まで掃除機かけろよ。見えてる部分だけかけてどーすんだアホ』
『ああっ、そうか、なるほど…』
『……。』
こいつの家庭の事情はさっぱり分からない。
だけど、ここまで何も知らないってことは、実はとんでもないお嬢様とかなんじゃなかろうか。
そう疑われても文句が言えない位、何も知らないし、出来なかった。