おうちにかえろう
「あーあ…服も着替えないと駄目だ…」
めんどくさそうに呟かれたその言葉につられて、つい洋服に目をやってしまった。
Tシャツは、確かに豪快に濡れていて、身体のラインがくっきり浮かんでいる。
…と、いうか、…
下着、がっつり透けてんだけど。
「……。…今スケベな目で見たでしょう。エッチ」
「自惚れんな貧乳」
両手で胸らへんを隠した美月に心の中で全力で謝った。
すいません、正直ちょっとそういう目で見ました。
でも仕方ないだろ、年ごろの男なんだから。
不可抗力ってやつだ。
「言ってくれるね、いっとくけど一応Dはあるんだからね。ざまーみろ」
…ざまーみろの意味が分からん。
「見栄張ってんなよ」
ふん、と鼻で笑ってやると、美月の目が座った。
ついでに黒いオーラも立ちこめて、辺りを包んでいく。
「くそー…、正直胸のことなんてどうでもいいけど信じてもらえないとなんか悔しいな、こうなったら直接見せてやろーか」
「よし、見せてみろ」
ぐぬぬ、と唇を噛みしめた美月に対しての返しは、間違っていなかったと思う。
ノリで言っただけだ。
…それなのに、こいつときたらおかしいんだ。
「……冗談だしね……」
照れどころが分からん。
こういうノリ、平気なんじゃねーの?
何でいきなりもじもじすんだよ、ほんとに。