おうちにかえろう
気になるけれど、多分、俺が聞いたところで何も答えないだろう。
湊なら別だろうけど。
…とりあえず、あいつが帰ってくるまではそっとしておいてやるか。
「…雛ちゃん帰って来たね」
「おせーよ」
「嘘でしょ、超急いだのに…」
着替えたらしい美月が、雛と入れ違いで階段を下りてきた。
俺の目の前まで来ると、何やら眉間に皺を寄せて階段の上を覗き見た。
「…何か…いつもと違ったような、そうでもないような…」
うーん、と腕を組んだ美月を見て、何のことかはすぐに分かった。
「ああ、雛?明らかにいつもと違うだろ」
「ああ、やっぱり」
美月も分かるってことは、よっぽどだな。
湊が帰ってきたら、とりあえず相談してみよう。
…の前に、雛が湊に飛びつくかもしれないけど。
「どうしたの?大丈夫なの?」
「…あー、多分平気じゃない?湊が帰ってくれば」
「…そうなの?」
二階を指差しながら怪訝そうな顔をされても、俺には頷くことしか出来ない。
だって、雛のことを一番分かっているのは、湊だから。