おうちにかえろう
気が付けばそこは、趣のある見知らぬリビングだった。
置かれている家具は木製で統一されていて、余計なものが一切無く、清々しい。
何畳くらいあるのかは分からないけれど、恐らく、私の住んでいるマンションのリビングの3倍はあるだろう。
大きな窓からは手入れされた庭が覗けて、解放感がある。
全体的にどんな家なのか、どのくらいの大きさなのか、残念ながら炒飯を食べ始めるまで意識が朦朧としていたので分からないけれど、でも、何となく、すごく広い家なんじゃないかなと思う。
まぁ、全部、勝手な想像。
「っつーか…何で飯食ってなかったの?」
「何で…そうですね…材料がなくなってしまって、何も作れなくなったといいますか…まぁ色々あったわけです」
「えらく端折ったな」
「まぁいいじゃないですか」
「……。」
「これ、あなたが作ったんですよね…プロみたいですね」
「…話そらすの下手すぎんぞさっきから」
軽蔑の眼差しが痛かったけれど、目の前の炒飯が美味しすぎて止まらない。
手作りの、温かいご飯なんて、いつ以来だろう。
こんなにも温かいものだっただろうか。
手作りご飯て。