おうちにかえろう
本当に来てくれたんだ。
疑惑の眼差しが痛かったから、来てくれないかもと思っていたけれど…
「いらっしゃいませにゃん。待ってたにゃん」
「…お前もにゃんにゃん言うのか」
げんなりした視線を向けられて、お前“も”の意味を理解した。
ここに案内した先輩も、にゃんにゃん語だっただろうしな。
似合わなくてすみません。
「前からここ気になってたんだよねー!そしたらこいつが凄い券持ってるから、これは行くしかないだろって!」
「来てくれてありがとにゃん。とっても嬉しいにゃあ」
「気持ちこもってねー!」
この、もう酔ってるのかと疑いたくなる方は、黒髪様のお友達だろうか。
妙にテンションの高い方だ。
素面でこの状態じゃ、酔っぱらったらどうなってしまうんだろう。
「今日くれた券、タバコと一緒にポケットに入れて仕事行ったんだけど」
「…にゃん」
「タバコ吸う時落とした。で、それをこいつに見られた」
「にゃるほど」
「…、何、それは絶対なの?」
そんな可哀そうな子を見る目で見ないでください。
絶対なんです。
にゃんにゃんカフェですから。
「女子高生にも会いたいって煩いし…」
「出来れば制服姿も見たかったけどこの格好もいいね!若いって素晴らしい!」
と、いうことは、このテンションの高い方は同じ会社の人だろうか。
さっきからじろじろと舐めるように見られてるけど、何も出ませんよ。
制服姿も、別に人様に見せるほどのものでもありません。
「…ま、俺も何となく気になってたし」