おうちにかえろう




「……何だか今日のお返しじゃ足りないくらいです」


「え、何、何の話してんの?…って何だよその顔」



そう言って、黒髪様が眉間にしわを寄せた。


ついでに、眉間を指差して。




「またここに皺寄ってる」




…それは、もしかして私の真似?


私、そんな顔してますか?





「すみません勘違いさせてしまって。睨んでません。何も怒ってません」



普段なら、誤解されたままでいいと思うのに、今日は違った。


さすがに、命の恩人にこれ以上不快な想いをさせてはならない。


私にだって、それくらいのことは分かった。




「は?なに睨むって」


「何かよく誤解されるんですが、別に怒ってません。目付きが悪いのは生まれ付きで…」


「いや、そうじゃなくて」




キョトンとされてしまって、私までつられて同じ顔になってしまった。


そうじゃなくて?


だって、何その顔って言ったじゃない。


と、いうことは私、また人様に不快な想いをさせるような顔をしていたってことでしょう?


みんな言うもの。


慣れてるもの。


黒髪様も、同じでしょ?






「何で泣きそうなのかなって思っただけ」




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