おうちにかえろう
やり口が完全に裏の世界の人なんですけど。
命の恩人てだけでもお断りしにくいのに。
そんなこと言われたら…
「絶対行かせていただきますから連絡だけは絶対しないでください。面倒臭いのは御免です」
「潔いなお前」
「だって、拒否権なんてないんでしょう?」
分かってんじゃん、と言わんばかりににっこりと笑った黒髪様を見て、ゴクンと喉を鳴らしてしまった。
…読めない。
この人の考えが、全く読めない。
だって、今日初めて会ったのに。
黒髪様の名前だって、歳だって、
何も知らないのに。
失礼なことばかり、しているはずなのに。
どうして私に構うの?
「…黒髪様が…悪魔様に見えてきまし…」
「―――朔」
曇りのない、真っ直ぐな瞳を見据えてみても、全く分からない。
ただ、呑まれるだけで。
「黒髪様じゃなくて、雨宮朔」
―――その瞳の奥で、一体何を考えているの?