おうちにかえろう
「……。」
電話機の、留守電のボタンを押してみる。
【―――新しいメッセージはありません】
…そんなこと分かってるけどね。
メッセージがあったら、ボタンが光っているはずだもの。
小さく溜息をついたあと、床にカバンを投げて、テーブルの前に座りこんだ。
手を伸ばして、カバンから携帯電話を取り出す。
【新着メッセージ 0件】
着信履歴は、まーちゃんと、バイト先だけ。
…これも分かってる。
さっき、バイトが終わった直後に確認したときと何も変わっていないのだ。
「……ハァ」
静かすぎるリビングでは、小さなため息さえ響いて聞こえた。
天井を見上げて、そのままそっと、後ろに倒れ込む。
フローリングのひんやりとした感覚が、背中から伝わってきた。