おうちにかえろう
すぐ目の前のドアから、光が漏れていた。
恐らく、あのドアの奥に、私が炒飯を御馳走になったリビングがある。
確か、そういう間取りだった気がする。
「おーい、美月ちゃん来たぞー」
予想は当たったみたいで、雨宮さんがそう言いながら部屋の中に入って行った。
出遅れて、一気に中に入り辛くなったと思ったら、すっと顔が覗いて。
「丁度飯出来たっぽい」
そう言って笑った雨宮さんに、また手を引かれた。
久しぶりに、緊張する。
ドキドキと、胸が騒ぐ。
一気にしんとなった空気。
そして、感じる視線。
そっと目を上げると、静かな空気は一瞬にして温かいものに変わっていった。
「あー、いらっしゃい!丁度出来たとこだよー!」
金髪さん。
「…どうも…二度目まして…」
フードさん。
「まじか…ほんとに来ると思わなかった」
そして、雨宮くん。
様々な種類の視線を感じながらも、とりあえず、
「今日はお招きいただきましてありがとうございます」
そう言って、頭を下げた。