おうちにかえろう


「そんな堅苦しい挨拶してないでさ、座ってよ!ここ!」



金髪さんは、ダイニングチェアを一つ動かして、駆け寄ってきてくれた。




「俺、入る間のさんずいに奏でるって書いて入間湊(いるまみなと)!よろしくね!」


「は、はぁ…どうも…」



金髪さんは、入間さんと言うらしい。


人懐っこい笑顔。


と、いうか、顔が女の子みたいに可愛らしい。


背はそれほど大きくないけれど、とにかく、可愛らしい人。


下手したら女の子より可愛いかもしれない。


歳はいくつくらいだろう。


もしかしたら、年下かもしれないな。



「はい、初めましての握手!」


「あ…はい」


「よろしくー!」




差し出された手を握り返そうとした瞬間に、がっつり迎えに来られて、腕をぶんぶんと振られてしまった。


つ、強い。


握手が力強い。


腕が抜けそうだ。




「…みなちゃん…自己紹介はとりあえず後にしてお鍋運んで…重いから…」


「えっ?あー、そっか、ごめんごめん!」



入間さんは、フードさんに言われて小走りでキッチンに戻って行った。


そして、代わりに今度は、フードさんがやってきた。


大きなクリクリの目に下から捕えられて、固まってしまった。





「…梅田雛(うめだひな)です…よろしくお願いします…」


「…あ、はい、どうも…」


「お前もがっつり自己紹介してんじゃねーかよ」



雨宮さんの突っ込みを軽くスルーした梅田さんも、私に手を差し出してくれた。


とても小さな手をふにふにと握り返すと、コクンと頷いてから、またキッチンへと戻って行く。


…小さくて可愛らしい人。


身長、私も155センチでそれほど大きくないけれど、梅田さんはもっと小さい。


多分、150センチないくらい。


低い声でゆっくりと喋る様子が可愛らしいお顔とミスマッチで、そこがまた可愛らしいというか。


あの人も年下…かな。


そして、あのフードは毎日してるのだろうか。


パーカーが好きなのかな。


いいよねパーカー。楽ちんだしね。




「いつまで突っ立ってんの」



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