おうちにかえろう
「女の子なんだからもっと自分を大事にしなさい」
―――そんな、親みたいなこと言われても。
大事にする方法がいまいち分からない。
…だから…困る。
「…お前高校生くらい?学校は?」
「行ってます。高校生です。当たりです」
「行かなくていいの?」
「行きます…ああ、そうだ。一旦帰って着替えなければです」
ちらっと時計を見たら、7時半。
空腹で眠れなくて、仕方なしにコンビニにお弁当を買いに行こうと思ったのに、倒れてしまったものだから部屋着のままだ。
一度帰って制服に着替えなければ。
「…間に合う?」
「はい、家から近いので。多分こちらからも近いと思われ…」
「え、まさか神谷高校?」
…目を丸くしてしまった。
まさしく、神谷高校だ。
私の通っている高校。
どうして分かったんだろう。
(…って、この辺だとうちの学校しかないか)
「そうです、当たりです」
「へー、そうなんだ。じゃああいつと一緒だ」
タバコを灰皿に押しつけながらそう言った黒髪さんを見て、再度目を丸くした。
あいつ…って、誰?
「―――何でお前が居んの?」