おうちにかえろう




一人で食べるお弁当は、好きなおかずばかり並んでいて、おいしいはずなのに全然おいしくなくて、


チンして食べれば温かいのにそれすら嫌な日もあって、


テレビをつければ少しは賑やかになるはずなのに、わざとつけなかったりした日もあって、


ただ、無だった。





「…いつもこんな賑やかなんですか」


「…え?」




ご飯、食べるとき。


いつもこんなに騒がしいのだろうか。






「まーそうだな。なるべくみんなで飯食うって決まりがあるから」


「…決まり?」



私の問いに応えるように、ビール片手に笑った雨宮さんに、即座に突っ込みが飛んできた。





「つっても朔ちゃんいない日のが多いけどね!!特に月末とか!!」


「ほんとだよ、自分から決めといて」



入間さんと雨宮くんの声を合図にしらっと冷たい視線が雨宮さんに集中すると、彼はビール缶を雑に置いて、顔を顰めた。




「俺待ってたら晩飯が朝飯になるだろ」


「「確かに」」




入間くんと雨宮くんが声をハモらせた。


納得するの早いな。


そういえば、私が炒飯をいただいた日も、朝帰りだった。


どんな仕事されてるんだろう。


なんにせよ、仕事をするって、大変なことなんだな。


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