おうちにかえろう
…と、いうか。
朔兄は今日、何で檜山をうちに呼んだんだろう。
親しくなったと言われればそれまでだが、特別仲が良さそうには見えなかったのが正直なところだし。
まぁ、初対面があれじゃ大分インパクトもあっただろうけど。
朔兄は、困っているやつがいると、放っておけない性格だから。
「よく言えば面倒見がいい。悪く言えばおせっかい」
「…なんだよ」
「朔兄の性格」
朔兄は、あからさまにむっとしていた。
いや、だって、本当のことを言っただけだし。
昔から朔兄はずっとそう。
ずーーーっと同じ性格。
本当に変わらない。
だから、苦労も人一倍してきた。
「喧嘩売ってんのかてめー」
「なんで今日こいつ呼んだの?」
朔兄の返しは完全に無視して、聞いてみた。
朔兄は案の定面倒臭そうに顔を顰めたけれど、俺には思い当たる節があった。
おせっかい、とはまた別の理由。
俺からすれば、こっちが本命。
「…何で呼んだの?」
朔兄は、きっと俺の想いに気付いているだろう。
だけど、答えないだろう。
本当のことなんて、絶対に。
「…心配だったから、普通に」
そんなこと初めから、知っていた。