おうちにかえろう
「…うん、でもさ、心配だよね!美月ちゃん、超細いしさ…」
「…うん…飲みっぷりはよかったけどね…」
「雛ちゃんちょっとの間でいいから黙っててくんない…?」
「…みなちゃん…ひどい言い方…」
湊と雛のコントはどうでもいいとして、超細い、の意見には同感。
檜山は、本当に細い。
ちょっと心配になるレベル。
普段、飯とかどうしてんだ?
っつーか、そもそも何で一人暮らしなんかしてんだよ。
飯もろくに作れねーくせに。
親は?
こいつの親は、何で一緒に住まないんだ?
「…お前何もしらねーの?」
朔兄の言葉に、頷きだけ返した。
知るわけない。
だって、檜山の言った通り、俺たちは友達なのかさえ微妙なところだ。
事情なんか、知るはずない。
「…何も知らんけど、…でも、基本的にいつも暗い、…いや、暗いっつーか、誰に対しても敵意むき出しっつーか」
「敵意?」
「恐い、感じ悪い、目付き悪いっていつも言われてる」
クラスメイトにも、多分他のクラスのやつにも言われてる。
聞いたこともある。
だけど、そんなの関係ないと言わんばかりにしれっとしている。
いや、関係ないというより、
聞こえていないといった方が、しっくりくるのかもしれないけれど。
「ふーん…」
腕を組んで、煮え切らない顔で檜山の寝顔を見下ろす朔兄の横顔を、見つめた。
…でたでた。
そうやって、すぐ心配する。
朔兄は本当に、自分より他人のことばかりだ。