おうちにかえろう
「…美月ちゃん…友達とかいないの?」
「あー、一人居る。うるさいのが一人。そいつとはずっと一緒に居る。かなり仲良いんだと思う」
そう答えると、湊は安心したように微笑んだ。
こいつも、他人のことをやたら心配するやつだ。
朔兄と、少し通ずるものがある。
まぁ、朔兄の方が重症なんだけど。
「その子は何か知ってんのかな…」
「言っとくけど聞かないからな俺は」
「まだ何も言ってねーだろ」
白けた視線を向けられて、ぐっと言葉を飲み込んだ。
朔兄の考えは分かってる。
放っておけなくなってんだろ?
檜山のこと。
顔に書いてあるからすぐ分かるよ。
展開がはえーんだよバカ兄貴。
言っとくけど、俺だって正直、気になるんだ。
無口で、無愛想で、可愛げなんか全くないくせに、どこか寂しげな檜山のこと。
何でか知らないけど、ずっとずっと、目で追ってるんだ。
最初は感じが悪いヤツだって、思っていたはずだったのに。
『…ありがとね、雨宮くん』
多分、あの日から、…ずっと―――
「………ぃ……」