おうちにかえろう
…まずは、お味噌汁をいただいてみた。
わかめと豆腐のお味噌汁。
すすった瞬間に、かつおのいいお出汁の香りが鼻から抜けていった。
「…あ゛~~~…染みわたる…なんておいしいんでしょう…」
「どこのオヤジなんだお前は」
雨宮くんの突っ込みは無視して、食べ進めた。
全部おいしい。
全部優しい。
あったかいご飯、手作りのご飯。
本当においしい。
心なしか、頭痛も軽くなっていく気がする。
「…で、大丈夫なの体は。二日酔いとかなってねーの?」
思い出したように雨宮さんにそう問われ、キリっと答えてやった。
「頭が…というか、なんていうんでしょう、瞼の奥の方が尋常じゃないほど痛いです、気を緩めたら泣きそうです」
「…あとで薬出してあげようね」
憐みの眼差しを向けられて、思った。
頭痛が軽くなって行く気がしたの、あれ気のせいだ。
思い込みって恐ろしい。
「昨日はお前のせいで大変だったんだからな」
「雨宮さんから聞いたよ…ほんとに申し訳なかった。どうお詫びしたらいい」
「そうだな、…よし、じゃあ身体で払ってもらおうか」
「…、兄弟揃って同じくだり…」
「まじかよ…ふざけんなよ…」
げんなりとした雨宮くんの視線に気付いたらしい雨宮さんも、「こっちのセリフだからね」と、げんなり顔。
…うん、見れば見るほどよく似ている。
中身だけじゃなくて、お顔もそっくりだ。