おうちにかえろう
「…何か…檜山と一緒に飯食うって変な感じすんな」
気を抜いていたときに、いきなり話題を振るのはやめてほしい。
鮭が喉につかえそうになってしまった。
「…ンン゛っ、…いや、本当に。何だか出逢ってから畳み込むように迷惑をかけて本当にごめんなさい」
「迷惑とか思ってないし。昨日だって俺が無理矢理誘ったみたいなとこあったじゃん。まぁあのギャグみたいな出会い方もなんかの縁だろ。なぁ」
と、全く裏表のない笑顔でそんなこと言わないでください雨宮さん。
そうですね、縁ですね、なんて、私からは死んでも言えませんから。
「……恐縮です…」
…としか答えられません。
「…ほんと、朔兄とこいつってのが組み合わせ悪すぎんだよ。おせっかいバカ野郎に、陰気な無愛想女」
「「ひでーなオイ」」
雨宮さんと、声を揃えて突っ込んでしまった。
無愛想であることは認めざるを得ないけれど、陰気って…
「お前みたいなの朔兄が放っておけるわけねーっつってんだよ」
雨宮くんは、不機嫌にそう言い放って、味噌汁の具をかき込んだ。
正直、なんてお答していいものなのか分からないけれど、言えることは、『私のことはお気になさらず』…だ。
本当に、ここまでしていただいたのはある意味奇跡みたいなものだもの。
奇跡は一回だけ。
これ以上は何もお世話になる気はない。
お礼をする気はあるけれど…
「…っつーか俺、昨日の夜考えてたんだけどさ」