おうちにかえろう
そんなに後悔するなら、なんであんなこと言ったんだか。
朔兄の性格上、聞き流せないことだったんだろうけど…
「…親と上手くいってないんかね」
俺の言葉に、朔兄はすぐ頷きを返した。
「だろーな。あんなこと言うくらいだし」
…一人暮らししている理由も、そこにあるのだろうか。
普通に考えると、関係しているとしか思えない。
でも、そしたらあの寝言はなんだったんだろう。
どんなに考えたって分かるはずもないのに、気付けば脳をフル回転させていた。
「……はー…」
聞こえてきた、大きな溜息。
見れば、朔兄がまた天井を見上げていた。
「泣きそうになるくらいならあんなこと言うなよなぁ…ほんとに」
泣きそうだったか?
どちらかというと不機嫌顔だったけど?
そう言おうと思ったのに言えなかったのは、朔兄の横顔があまりに真剣だったから。