おうちにかえろう
そもそも、私が悪かったのだ。
私が、あんなこと言ったせい。
あれじゃあ、気にしてくれと言っているようなものだ。
あの場で何を言われても、私に腹を立てる権利なんてない。
本当に迂闊だった。
なぜ、あんなことを言ってしまったんだろう。
今思い返してみても全く分からない。
「―――…」
慣れない雰囲気に、呑まれてしまったのだろうか。
温かくて、賑やかで、…むしろ騒がしくて。
大勢で食卓を囲んで、同じ鍋をつついて、美味しいねと言って笑い合う。
ずっと知らなかった世界を見てしまったことで、目がくらんでしまったのだろうか。
私らしくない。
こんなの、私じゃない。
(……落ち着こう、一回…)
立ち止まって、そっと深呼吸をしてみても、喉の奥につかえた何かはとれない。
そもそも、雨宮さんの言動に惑わされて、あの家を訪問してしまったこと自体、間違っていたのだ。
行くべきじゃなかった。
…行かなきゃよかったんだ。
感謝が足りないというのなら、もっと別の形で返すべきだった。