奪取―[Berry's版]
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 喜多が父方の祖父が経営する会社に就職し、既に7年が経とうとしていた。つまり、喜多はもう直ぐ、30歳の大台を迎えようともしているのだ。
 昔から、祖父の会社に興味を持っていた喜多は、高校時代には清掃員として、大学時代にはアルバイト要員として関わりを持ってきた。当時はもちろん、祖父である会長との関係は隠してきたが、就職となれば話は別である。喜多が経営陣の血縁者であることは周知の事実として、喜多は会社に根を下ろすことになった。
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