奪取―[Berry's版]
同時に、同じ年である従兄弟――名前を箕浪と言う。従兄弟同士で喜多と箕浪とは、幼少時期、親のセンスを疑わずにはいられなかったものだ――も就職していた。彼の父は会長の長男であり、現社長でもある。周囲の目は必然的に、彼を後継者として評価の対象にしていたはずであった。喜多はその対抗馬になりうる存在なのか、もしくはおまけ的なものなのか。将来を考え、どちらにつけば自分の利益となりうるのか。値踏みするようなものでもあった。遠慮ない視線と憶測、好奇心。
ふたりの社会生活が1年も経とうとした頃。周囲の評価は当初の目論見を大きく裏切る結果となっていた。
ふたりの社会生活が1年も経とうとした頃。周囲の評価は当初の目論見を大きく裏切る結果となっていた。