奪取―[Berry's版]
カラリと音を立て、喜多は懐かしい雰囲気のある引き戸を開ける。店内に足を踏み入れば、相変わらず一面本の海だ。いつもと変わることなく、店内は静寂と言うアクセントで支配されている。喜多は勝手知ったる足取りで、店内奥へと突き進む。レジが置かれた小さなカウンターに足を乗せ、椅子からずり落ちそうな体勢で。本に視線を落とす従兄弟の箕浪の姿を、喜多は視界に捉える。喜多の靴が不意になり、箕浪が視線を上げた。口元を緩め、箕浪は開いていた本を閉じカウンターへと置いた。
「予定よりも早かったな」
「仕事が思ったよりも捗ったから。で、今回の調査はどうだい?」
「俺を誰だと思ってる。抜かりはないさ」
変わらぬ態度に、喜多も同じように頬を緩めていた。
「予定よりも早かったな」
「仕事が思ったよりも捗ったから。で、今回の調査はどうだい?」
「俺を誰だと思ってる。抜かりはないさ」
変わらぬ態度に、喜多も同じように頬を緩めていた。