奪取―[Berry's版]
将治は、絹江が勤務する着付け教室が入っているビルの2階にテナントを構えるブティック店の店長だ。輸入した衣類や装飾品を扱っている彼の店は、定期的に彼自身が海外へ足を向け仕入れている。値の張るものも多いが、商品の質、デザイン、そして彼のセンスもあるのだろう。多くの顧客を抱えているだろうことは、人の流れから十分推測できた。
絹江よりも年下であるが、絹江がこの教室の講師を勤めるよりも以前から。ここに店を構えている。
実際、絹江が将治の店で衣類を購入したことはない。だが、こうして、生徒を見送る習慣のある絹江と、顧客を送りに来る彼と出くわしたことが度々あり、会話をするような仲になったのだ。
ぼんやりと、流れるテールランプを見つめている絹江に、将治は意地の悪そうな顔で問う。
絹江よりも年下であるが、絹江がこの教室の講師を勤めるよりも以前から。ここに店を構えている。
実際、絹江が将治の店で衣類を購入したことはない。だが、こうして、生徒を見送る習慣のある絹江と、顧客を送りに来る彼と出くわしたことが度々あり、会話をするような仲になったのだ。
ぼんやりと、流れるテールランプを見つめている絹江に、将治は意地の悪そうな顔で問う。