奪取―［Berry's版］

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　会社を後にした喜多は、指定を受けたレストランへ来ていた。ナビで表示されている時刻を確認してから、駐車場に停めた車から降りる。店に足を踏み入れ、最初に出迎えたウェイターに名前を告げれば、既に連れは来ていると教えられる。小さく頷き、案内されるままに店内奥へと、喜多は足を進めた。
　店内は個室がメインとなった作りになっている。相変わらず、便利な店をよく知っているものだと、喜多はひとり感心していた。ウェイターがドアを開け、喜多を招きいれる。椅子に座る女性を視界に捉え、喜多の表情は、知らずと柔らかいものになる。
　メディアを通し、彼女の活躍は耳に入ってはいるものの、実際彼女と顔を合わせるのは数年ぶりだった。