奪取―[Berry's版]
 喜多の来訪に気付いた彼女が、顔を上げる。濃い色のサングラスを掛けているために、喜多からは確認できなかったが。弧を描く唇から、彼女が笑みを浮かべたことが伺えた。

「久しぶり、喜多」
「春花も、元気そうで」

 今回、従兄弟が営む探偵事務所へ舞い込んできた件の依頼主は、春花であった。

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