奪取―［Berry's版］

「ある意味、俺の息抜きの場でもあるんだ。箕浪の仕事に関わるのは。それに、頑固で短気なあいつに。依頼者との接触を任せていたら、進む話も頓挫するのは火を見るより明らかだ。多少、最近は落ち着いているとは言え、な」
「……確かに。それはそうです……ね」

　秘書の同意の言葉に、喜多は自身から言い出したことであるにも関わらず、苦笑を浮かべる。自身と長い付き合いだと言うことは、従兄弟である箕浪とも、彼はそれなりの付き合いなのだ。箕浪の会社での人となりを、説明など不要なほどまでに。十分に理解していた。

「忠告はしっかりと受け止めるよ。遅くまで付き合せて悪かった。――そうだ」