奪取―[Berry's版]
先ほど、ホテル事業を広く手がけている鯵坂グループの社長娘であり、幼馴染でもある鈴音とも言葉を交わしたが。今日の賑わいには、彼女も満足しているようであった。喜多と共に、彼女は今回のリニューアルオープンの責任者でもある。日本へ帰ってきてから初の仕事でもあるのだ。本日の成功如何は、直接彼女の評価へとも繋がる。それはもちろん、喜多とて同じ立場である。抑えようとも、高まってしまう気持ちは十分に理解が出来た。
「本部長」
秘書に呼ばれ、喜多は彼を視界に捉える。ゲストが到着したとの言葉を聞き、喜多は手すりから手を離した。
本日の数時間を無事乗り越えることができたならば。ある程度、再び落ち着いた生活へ戻れるだろう。喜多の願望としては、この喜びを絹江とも分かち合い過ごしたかったが……残念ながらそれはお預けのようだ。
「本部長」
秘書に呼ばれ、喜多は彼を視界に捉える。ゲストが到着したとの言葉を聞き、喜多は手すりから手を離した。
本日の数時間を無事乗り越えることができたならば。ある程度、再び落ち着いた生活へ戻れるだろう。喜多の願望としては、この喜びを絹江とも分かち合い過ごしたかったが……残念ながらそれはお預けのようだ。