奪取―[Berry's版]
絹江が居るホテルは、本日リニューアルオープンを迎える。それにあたり、絹江が身につけているドレスのデザイナーが手がけるドレスが、このホテルの店舗内で取り扱われることになったのだ。それを機に、本日の式典へデザイナーが招待を受け、親しくしている将治の元へも話が回ってきたのだった。そして、宣伝も兼ねてと、将治はお得意様を連れリニューアルオープンのセレモニーへ参加することとなったと言う話なのだ。お得意さまでもあるお客様全てに、満足行くサービスが出来るようにと。将治はホテルの一室を確保し、スタッフも衣装をも準備していたと言う訳である。
知っていたのなら、どうにか知恵を絞り言い訳を拵えて。決して来はしなかった……と、絹江は自身の映る鏡を前に早々後悔していたのだった。
「さ、絹江さん。行きましょうか」
笑顔で手を差し出す将治に、絹江は目を背けたくなる気持ちを、必死で堪えていた。
知っていたのなら、どうにか知恵を絞り言い訳を拵えて。決して来はしなかった……と、絹江は自身の映る鏡を前に早々後悔していたのだった。
「さ、絹江さん。行きましょうか」
笑顔で手を差し出す将治に、絹江は目を背けたくなる気持ちを、必死で堪えていた。