奪取―［Berry's版］

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「……ちょっと。最終報告はいつ受けられるのよ」
「近々」

　ゲストである春花を迎えに来た喜多は、秘書と共にエレベーターの到着を待っていた。喜多が渡した回答が満足いくものではなかったのだろう。春花は不満げに肩を揺らし、大きく息を吐き出している。喜多は春花に見えないよう、苦笑を浮かべていた。
　小さな音が到着を知らせると共に、目の前のドアが左右に開く。喜多を先頭に、3人は小さな箱へと乗り込んだ。

　オープニングセレモニーが行われる場所は、ホテル内でも一際大きな会場であった。そのイベントのひとつとして、喜多は春花へライブの依頼をしていた。依然と人気の高い彼女は、好感度も十分に高く年齢層を幅広い支持を受けている。今回の集客ターゲット層とも重なり、効果も十分に期待が見込めたからだ。