奪取―[Berry's版]
投げかけた問いに答えることなく、無言で遠ざかる絹江の背中を見送った喜多は、セレモニーが行われる大会場の隣に設けられた控え室へ来ていた。云わば、セレモニーのオープニングに予定されている、自身の出番を待っている状態だ。
会場は既に、多くの招待客で賑わっており、セレモニーの開始を今か今かと待ち望んでいる。もちろん、ゲストである春花も。イベントの準備を客には見えぬようにと用意された垂れ幕の奥で進めてもいた。
現在もなお、多くのスタッフがセレモニーの成功のためにと駆け回っているのだ。その中心でもあり、責任者でもある喜多が。開始直前に項垂れている余裕など、本来ならばない。喜多の補佐役である秘書が、上司の現状を前に不安を抱くのも、仕方のないことであった。
会場は既に、多くの招待客で賑わっており、セレモニーの開始を今か今かと待ち望んでいる。もちろん、ゲストである春花も。イベントの準備を客には見えぬようにと用意された垂れ幕の奥で進めてもいた。
現在もなお、多くのスタッフがセレモニーの成功のためにと駆け回っているのだ。その中心でもあり、責任者でもある喜多が。開始直前に項垂れている余裕など、本来ならばない。喜多の補佐役である秘書が、上司の現状を前に不安を抱くのも、仕方のないことであった。