奪取―[Berry's版]
隣に居た将治に、何か問われていた気もするが。絹江はその内容も、自身の答えも覚えてはいなかった。まるで台風に襲われた直後のような混乱状態の結果。絹江は無言のままに、喜多へ背中を向け去ることになってしまっていた。
よりにもよって、何故……こんな格好の時に彼と会ってしまうのか。
絹江は両手で顔を覆い隠した。
「絹江さん」
声へ反応し、掌から顔を上げた絹江の前に、細身のグラスが差し出される。小さな泡を次々に弾けさせる液体の入ったそれを、絹江は将治の手から受け取った。絹江に習う形で、将治も彼女の隣に壁へ背を預ける。手にしたグラスへ唇を寄せ、一口流し込んだ。
「さっきの彼。もしかして、『待ち伏せ』の?」
よりにもよって、何故……こんな格好の時に彼と会ってしまうのか。
絹江は両手で顔を覆い隠した。
「絹江さん」
声へ反応し、掌から顔を上げた絹江の前に、細身のグラスが差し出される。小さな泡を次々に弾けさせる液体の入ったそれを、絹江は将治の手から受け取った。絹江に習う形で、将治も彼女の隣に壁へ背を預ける。手にしたグラスへ唇を寄せ、一口流し込んだ。
「さっきの彼。もしかして、『待ち伏せ』の?」