奪取―[Berry's版]
確かに。喜多の隣には、女性の姿があった。どこか見覚えがあるような気もする。が、未だ動揺の残る思考では思い出せそうにもない。とにかく、喜多は女性と共にエレベータの中に居た。
しかし、喜多とその女性がふたりっきりだったわけではない。秘書も一緒だったのだ。ならば、その女性も仕事関係の付き合いがある人物だと考えるのが適当だろう。
将治の問いに、絹江は首を振った。何を気にとめると言うのだろう、と。
絹江の態度に、将治は眸を細める。口元は楽しげに緩め、手元のグラスを燻らせながら。
「絹江さん、もう理解してるじゃないか。誰かに心を寄せるってこと。頭じゃなくてこっちで。絹江さんの心は、もう彼のこと信頼してる」
「え?」
しかし、喜多とその女性がふたりっきりだったわけではない。秘書も一緒だったのだ。ならば、その女性も仕事関係の付き合いがある人物だと考えるのが適当だろう。
将治の問いに、絹江は首を振った。何を気にとめると言うのだろう、と。
絹江の態度に、将治は眸を細める。口元は楽しげに緩め、手元のグラスを燻らせながら。
「絹江さん、もう理解してるじゃないか。誰かに心を寄せるってこと。頭じゃなくてこっちで。絹江さんの心は、もう彼のこと信頼してる」
「え?」