奪取―[Berry's版]
「お集まりの皆様。この度はこの様な晴れやかな場に呼んで頂きありがとうございます。ワタクシはまだまだ未熟で、駆け出しの歌手です。ご存じない方も多々いらっしゃるかと思いますが。今日は、この良き日に免じ、ワタクシの余興に少しばかりお付き合い頂けないでしょうか?」
突然の呼びかけに、会場内へ波紋のように動揺とざわめきが広がる。だが、ライトを浴びたまま、深々と頭を下げ続けている青年を前に、招待客らの内から徐々に拍手が起こり始めていた。
袖で休憩していたはずの春花も、この余興を知らされていなかったのだろう。驚きの表情で、ステージ脇まで出てきているのが、喜多の目にも確認が出来た。
いつの間にか、皆が拍手をし始めた頃。青年が顔を上げた。不意に、喜多と彼の視線がぶつかる。喜多は小さく頷いた。承知したように、彼も唇を引き締める。
突然の呼びかけに、会場内へ波紋のように動揺とざわめきが広がる。だが、ライトを浴びたまま、深々と頭を下げ続けている青年を前に、招待客らの内から徐々に拍手が起こり始めていた。
袖で休憩していたはずの春花も、この余興を知らされていなかったのだろう。驚きの表情で、ステージ脇まで出てきているのが、喜多の目にも確認が出来た。
いつの間にか、皆が拍手をし始めた頃。青年が顔を上げた。不意に、喜多と彼の視線がぶつかる。喜多は小さく頷いた。承知したように、彼も唇を引き締める。