奪取―[Berry's版]
「考える余裕を貴方に与えたら、貴方は理由を探して逃げるでしょう?大事な日に、大事な人へ、僕の気持ちを伝えたかったんです。ちなみに、この余興は喜多さんも承知の上です……と言うか、喜多さんの提案です」
春花は、瞬時に喜多を探す。ライトを浴びているステージからは、観客の顔が容易に確認が出来た。見つけた喜多は、平然とした表情に右手の親指を春花へ向け立ててみせる。春花は、唇を噛み締めながら思う。喜多にしては不手際だと感じていた報告書は、影で青年と接触していた事実を隠すためのものであったのだろう、と。
自分のこともままならないくせにと思いつつ、春花は喜多をひと睨みしてから青年へと視線を戻した。
太陽のように眸を輝かせ、答えを待ちわびている青年の姿が春花の眸に映る。
春花は、瞬時に喜多を探す。ライトを浴びているステージからは、観客の顔が容易に確認が出来た。見つけた喜多は、平然とした表情に右手の親指を春花へ向け立ててみせる。春花は、唇を噛み締めながら思う。喜多にしては不手際だと感じていた報告書は、影で青年と接触していた事実を隠すためのものであったのだろう、と。
自分のこともままならないくせにと思いつつ、春花は喜多をひと睨みしてから青年へと視線を戻した。
太陽のように眸を輝かせ、答えを待ちわびている青年の姿が春花の眸に映る。