奪取―[Berry's版]
「わあ、素敵ね」
「あ、気に入ってくれた?これ、きぬちゃんに。俺と、両親からプレゼント」

 予想外の喜多の言葉に。絹江は危うく紅茶を噴出しそうになる。むせ返る息を整え、絹江は言葉を紡いだ。

「喜多くん、何言ってるのよ、とんでもないわ!こんな高価なもの、受け取れないわよ!」
「ええ……。きぬちゃんに断られたって持ち帰ってでもしたら、俺がなんて言われるか。受け取ってよ。あの人たちも、喜ぶし」
「でもっ!」
「もしかして、本袋じゃないと受け取れない?」
「それこそ、まさかよ!」
「じゃあ、受け取ってよ。既に、きぬちゃんに合わせて仕立ててあるわけだし。それに、きぬちゃんも知ってるでしょう、あの人たちの気質は。着物好きな人のところで可愛がって貰えたら、この着物も帯びも。あの人たちだって本望だろうさ。お礼なら、直接言って。会いたがっていたから」

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