奪取―[Berry's版]
 大学生当時、絹江が彼氏とセックスに及ぶ時。絹江はいつも、ベッドサイドに背を預け、足を投げ出して座る彼氏と向かい合っていた。彼氏の身体を跨ぎ、大腿に腰を下ろすスタイル。これが絹江の知る、セックスの始まるスタイルだった。
 彼の胸に掌を置き、唇を合わせる。互いの舌を絡ませ、口腔内を愛撫して。満足そうなため息が零れたころ、絹江の唇は彼氏の首筋を伝うのだ。彼の感覚を刺激するようにだ。最中、彼氏は絹江の乳房を弄る。頂に指を伸ばすことはあったが、それは稀だった。掌全体を使って、乳房の形を変えてゆく。絹江には、それがあまり気持ちの良い行為だとは思えなかった。おざなりに触られていたことも、原因かもしれないのだが、とにかく、何も感じなかったのだ。
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