あたしは、あんたのもの。
そう叫んで母の上着をつかむと、一瞬にして母の顔から笑顔が消えた。
「もう無理なの!!あんたの世話ばっかりして、あたしは人生を損したの!!」
そう怒鳴られて、あたしは力なく手を下ろした。
母はふんっ、と上着を調えた。
「もう、いやなの、母親ってのは。人生奪われるのはもうまっぴらごめんなの。あんたが邪魔なの!分かる?」
この数年間、家にはぜんぜんいなかったくせによく言える、と思ったことをはっきり覚えてる。