あたしは、あんたのもの。






かすかに外から雨の音が聞こえる。







「そうか」







何も言わないあたしに、何も聞かない彼。








緊張感が解けていくのを感じていた。







またしばらくして、あたしは彼の手に気付いた。








コンクリートでも殴ってきたのか、手の甲が擦り傷だらけで。








見ていて痛々しかった。







あたしは何も言わずに、先ほどの彼と同じように木箱に手を伸ばした。








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