あたしは、あんたのもの。






おそるおそる手を伸ばして、彼の手首をつかむ。








彼は動かずに、されるがまま手を差し出してきた。







無言で先ほどの彼と同じように手当てをする。










包帯を巻き始めたとき、彼はいきなりもう片方の手を伸ばして、あたしの首に触れてきた。










湿った髪の毛を一房、一房とよけていく。










首の片方が見えたとき、彼はゆっくりと体をかがめた。









< 58 / 178 >

この作品をシェア

pagetop