善いヴィッチ
氷室さんには歳の離れた二人の弟がいるそうだ。

ご両親が毎日仕事で忙しいらしく、母親代わりとなって家事全般をこなし、毎日弟達の弁当を早起きして作っているらしい。

見た目通りの真面目、そして意外と苦労人。

「じゃあ…」

僕とは反対方向に歩いて行く氷室さん。

とはいっても、もう空は曇天、今にも大雨が降ってきそうだ。

買い物を済ませて帰っていたら、確実にびしょ濡れになるだろう。

女の子が一人で重い荷物を持って帰っていたら尚の事。

「氷室さん」

僕は彼女を追いかける。

「買い物、手伝うよ」

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