善いヴィッチ
ストン、と。

僕の座っていた席に、一人の女の子が座った。

黒髪のストレート、ちょっと大人しい感じのする同級生の氏家さんだ。

歳は一緒だけど、彼女は女子短大に通っている為、バイト席でしか話した事はない。

彼女は座ったまま僕の顔を見上げるなり。

「うわっ!」

両手で僕の肩を摑む。

そして、モミモミと。

揉む。

肩を。

驚く僕を無視して、構わず続ける氏家さん。

「すっごい凝ってますねぇ。ここまでの人ってなかなかいないですよ」

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