善いヴィッチ
「あーあー、何やってんだよドン臭ぇなぁ」

呆れたように声を上げる里奈さん。

彼女は。

「ほら、指見せてみろ」

鞄の中から、ゴムではなく絆創膏を出した。

「トロいなお前、指切ってんじゃねぇよ」

そんな荒い口調ながら、彼女は傷口に絆創膏を貼ってくれた。

こういうものも持ち歩いているんだ…。

見かけによらず女子力高いな…。

そんな事を思っていると。

「保科さぁ…」

里奈さんは細い手を僕の腰に回す。

皆が見ているのにお構い無しだ。

スキンシップ激しいな…。

吐息がかかる、そんな至近距離まで近づいた彼女は。

「童貞だろ?」

一発で、僕のコンプレックスを当てた。

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