善いヴィッチ
結局中間地点を齧っていると。

「しっかしオッサンの戦利品もすごいね」

いわゆるオタクの街を端から端まで巡った末の戦利品(オタク用語でいう『購入品』)の袋を眺めながら田中が言った。

「鬼畜系マンガ及びエロゲーの見本市みたいだ」

「これでも厳選したんだけどな」

俺は袋の中を漁る。

「ソフ倫に発禁食らった奴が手に入ったのは収穫だったな。評価は微妙だが絵師が好きなんだ」

普通の女ならドン引きする所だが。

「あ、それの続編は私も遊んだ事あるよ、割と好き」

ケロッとした顔で俺の齧った跡のチリドッグを齧る田中。

こういうサバサバした所が非常に付き合いやすい。

ショートカットに化粧っ気のない所も、女を感じさせなくてよい。

「にしても女の子の目の前で凌辱物を買うとは恐れ入ったな」

「それくらいの感覚がなければオタクは生き残れんよ」

フッとカッコつけながら前髪掻き揚げる所ではないが。

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